うんことの対話

ろんだん佐賀
子どもはうんこネタ好きよね

今年一年間、6週間おきに新聞投稿をする「ろんだん佐賀」を担当していましたが、ついに私の担当は本日が最終回を迎えました。最後がこれでいいのか?って感じのテーマですが、最後だし書きたいことを書いてしまえ!!!とばかりに、こんな話を投下しました💩

『うんことの対話』 健康の要、無頓着ではいられない

 最近、うんこの悩みが解決した。長い間、私は便秘と下痢を繰り返していた。緊張するとお腹がキリキリと痛み、トイレに駆け込む。規則正しく排便できないため体調を崩しやすかった。

 うんこの話は「下ネタ」とさげすまれて、人前で話すのははばかられるため、私も普段は話題にしない。しかし、仕事となると話は別だ。「最後にうんこはいつ出た?」「うんこは硬い?軟らかい?」など、日常会話なら怒られそうな質問も、医療現場では常に飛び交う。老若男女、排便は健康の要である。食事や薬など身体に入れる物に対しては細かく気を配るのに、身体から出す物に対して無頓着なのはアンバランスだ。

 排便のリズムが整った途端に全身状態が改善することは珍しくない。逆に便秘が悪化すると、腸が閉塞し、嘔吐し、最悪の場合は死に至る。脳卒中では排便リズムが乱れることが多く、便秘は認知症を助長する。脊髄損傷等でも便意があるかどうかは重要である。

 小児救急で腹痛の原因は、便秘が最も多い。出産したら赤ちゃんの全身を確認するが、肛門は最重要事項の一つだ。肛門の奇形(鎖肛)があれば手術適応になる。

 そもそも人間は二足歩行をするため臓器の重みが重力の関係で肛門に集中し、四足歩行の動物と比較して肛門に強い負担がかかっている。普段意識していなくても、肛門からうんこが漏れ出ることはない。それは、肛門の周囲を内肛門括約筋と外肛門括約筋という2つの筋肉が取り囲み、肛門を閉じているためで、排便時以外は肛門からうんこが漏れない仕組みだ。大腸の病気などで人工肛門を造設すると、肛門の偉大さを実感する。非常に複雑かつ重要な機能を担っているのだ。肛門は素晴らしい。これからは黄門様ならぬ「肛門様」とお呼びしたいくらいだ。

 最近のトイレは非常に進化しており、排便したのを察して(?)何も操作しなくても自動的に流れるタイプが増えてきたが、私は不満だ。「ちょっと待ってくれ。今日のうんこの性状も量も色も未確認なのに、誰に断って勝手に流した?」と怒りがこみ上げてくる。

 自分のうんこと対峙して健康状態を分析するには、和式トイレが最高だ。和式トイレは足に障害がある人は使いにくいため、洋式トイレが急速に普及した。障害者にも健常者にも使いやすいユニバーサルデザインは魅力的ではあるが、裏を返せば健常者には過剰な便利さをもたらしているのかもしれない。和式は足首の柔軟性が要求される。和式を忌避している人は、久しぶりに挑戦してほしい。昔と比較して、今の自分の足関節の可動域が狭くなっていないか、股関節・膝関節・足関節を曲げた状態で自分の体重を支えるだけの筋力・バランス能力は保たれているのか、排泄のたびにセルフチェックが可能で、スクワットの効果もある。私は和式を見つけたら喜々として使う。

 ところで冒頭に書いた私の便秘の解決策は「マラソン」だった。便通は食事内容、水分量、排便習慣、運動などの要素が絡み合うが、私の場合は運動不足だった。走り始めたら、特に頑張らなくてもスッキリと排便できるようになった。そのスピード感たるや、小便か大便かはた目にはわからないほどだ。これからも元気にうんこと向き合っていきたい。

2022年12月18日の佐賀新聞より

この一年間、色んな人から「新聞に書いていますよね?」と声を掛けられ、ファンレターまでいただいたりしました。私をアイドル扱いする人から見ると「え…うんこ💩?」と失望されるかもしれないけれど、せっかくの機会だし、うんこを主役にしてみました。

ちなみに私の娘の友達が読んでくれていると聞いたので「今度さ、うんこをネタに書くけど大丈夫?これが原因であなたがイジメられるようなことがないと良いけれど…」と心配になって娘に相談したところ

「うんこって書かずにオソマって書いたら?」と提案してくれたんだけど、アイヌ語で「オソマ=うんこ💩」なんて、ゴールデンカムイの読者じゃないとわからないからね…(苦笑)

味噌を生まれて初めて見たアイヌ人の女の子がうんこと思い込んで混乱するシーン

さて…一年前にこのお話を引き受けた当初、私はとても気負っていました。「読んだ人に何か伝わるようなメッセージ性のあるもの、社会的な提言の価値のあるもの、医学的に啓発活動につながるものを書きたい」と考えました。訴えたいことをリストアップして掘り下げて調べて、自分の持てる力を尽くして一生懸命に書きました。でも途中から持ち前のテキトーさが顔を出して、なんとなくその時に思いついた書きたいことを書くエッセイ調になって行きました。せっかくだから振り返って一気読み!


① 1月16日 センター試験当日に受験生にエールを送りたい!

ド根性なんて死語なのかもしれないけれど、敢えて「頑張れ!」と声を上げたかったので。この前日に受験生刺傷事故が起こって驚いた。


② 2月27日 後発医薬品不足の危機的状況を周知したい!

この記事を書くにあたり、色々な方にお話を伺って自分の中に落とし込んでいった。ものすごく面白い作業だったが、一般の方からは「とても難しかった」と言われてしまった記事でもあった。


③ 4月10日 HPVワクチンを普及させて子宮頸がんを撲滅したい!

ちょうど定期接種で打ちましょうと国の流れが変わり啓発活動もしやすかった。私は今までに3回HPVワクチンについて記事にしているが、今のところ反ワクチン団体からのクレームは来ていないのが有り難い。


④ 5月22日 水難事故から命を守りたい!

ニュースを聞いていてモヤモヤした。引き続き注視しているニュースでもある。


⑤ 7月3日 新幹線愛を語らせて♡

JRの回し者ではありません…。ただ新幹線が好きです♡


⑥ 8月14日 弔辞をラブレターに喩えてお盆の真っ最中に投稿

この後、菅義偉さんの弔辞と野田佳彦さんの追悼演説を聴いて「めっちゃ良いな」と心震えた。


⑦ 9月27日 ごみステーション経験者には共感の嵐だった記事

この後、地域のモデルケースになっているというごみステーションの見学に行った。また自治会長さんとも色々お話させていただく機会があり、色々と考えさせられた。


⑧ 私だからこそ書ける記事を書きたいと考えて書いた多子育児推し!

この後、歴代サポーターさんやベビーシッターさんに連絡した。皆さんの近況報告が聞けて楽しかった。


長かったようで短かった一年間でした。編集者から「想像を超えるテーマで書いていただいて楽しかった」と言っていただき感無量です。どうもありがとうございました!!

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