面会制限は慎重に

COVID-19(新型コロナウイルス)

今回の『診察室から』はコロナ禍以降、幾度となく考えたネタです。

面会制限は慎重に

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の登場から6年になる。未知のウイルスに対する感染予防策は手探りで行われた。医療機関や介護施設での面会制限もその一つだ。重症患者に限った面会制限ではなく、入院患者全員一律に外部との接触を禁止した。それにより、ウイルスを持ち込まれるリスクと持ち出すリスクを減らす効果があった。
私の職場では、他に倣って面会制限をしたものの、状況をみながら積極的に制限を緩和していった。現在では流行期に一時的に面会制限を行うこともあるが、基本的に家族が了承した人には会っていただき、子供が同伴することも絶対禁止にはしていない。それは感染予防のための面会制限に一定の意義があるにしても、制限により失うものの大きさが計り知れないからだ。
ここで私が考える面会のメリットを挙げる。
・患者の治療への意欲が上がる。
・落ち込みやすい患者の心の支えになる。
・面会者に患者の病状が実感として伝わりやすい。
・電話やメールが困難な人でも実際に会えると意思疎通がとれやすい。
また面会制限をする場合、それに伴ってスタッフの業務が増加することも指摘したい。
最近でも、知人が入院(入所)するなどで見舞に行こうとすると、厳しい制限が続いていることは珍しくない。 6年前はウイルスについて未知の部分が多くて、外部との交流を遮断することは感染予防策として有効だったが、今はワクチンも治療薬もあるし、マスクや消毒薬が枯渇しているわけでもない。状況は大きく変化した。
感染症を軽視するわけではない。ただ、元気なうちに、意思疎通がとれるうちに、たくさん面会して交流してほしい。そんな貴重な機会を奪うことに、私は慎重でありたい。


まぁ、うちの病院は、面会したくてもずっとリハビリしているから会えないという事情(リハビリに集中するため、リハビリ時間中の面会はご遠慮いただいています)もあるのですが、それはそれで…。

ちなみに当院のルールはこちら。

夜間や日曜日の面会希望はありますが、面会者の質問や相談対応に数少ないスタッフで対応するのは難しく、また離院のリスクも増えるため、見合わせました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました