集団免疫説について考える

新型コロナウイルス
感染者数は増加しているが重症者数はちっとも増えない

以前ブログでご紹介した「第二波は来ない」の上久保靖彦先生が今日グッディに出演して炎上したそうです。「日本人の多くは集団免疫をすでに獲得済み。再自粛は不要である。ウイルスとの共存を考えるべき。」という意見に多くの人がパニックになったのだと思います。無理もありません。多くのメディアが今まで報道してきたことと、上久保先生の主張はかけ離れていますから。

【衝撃新説】日本既に”集団免疫が達成”!? 第2波来ない? 自粛は不要? 京都大学大学院 上久保靖彦 特定教授 生直撃
上久保靖彦 特定教授 の 研究論文。 Paradoxical dynamics of SARS-CoV-2 by herd immunity and antibody-dependent enhancement (Jun 20, 2020 Version 2)(Yasuhiko Kamikubo Kyoto Un...

第二波のことは一旦置いておいて、私は新型コロナウイルスに関してモヤモヤしていたことがいくつかありました。色々ありますが、3つ挙げてみます。

  1. 2月か3月かだったと思いますが「今年は全然インフルエンザ流行らないね。やっぱりマスクとか手洗いとか大事なのね!」みたいな話、周りの人としませんでしたか?
  2. アメリカが早期に中国を締めだして鎖国政策を行いトランプ大統領が「対策は万全だ!感染者は少ない!」と言っていた頃「アメリカは今年インフルエンザが流行って対応に追われて、コロナの検査していないだけじゃないの?」という噂が流れたこと。またそうこう言っている間にアメリカで感染爆発が起こったこと。
  3. そして今、緊急事態宣言が解除された後に、東京都を中心に右肩上がりにPCR検査数を増やし、それに伴い「陽性者が増えた」と大騒ぎし(検査数が増えたら陽性率が変わらなくても陽性者は増えるのは当然のことだと思うが)、陽性者を収容するホテルまでもが不足していることを受けて管官房長官が「東京問題」と言ったこと。重症者数は増加傾向になく、政府は「緊急事態宣言を出す段階にない」と判断しているが「医療現場は逼迫している」という意見があること。
感染者数は増加しているが重症者数はちっとも増えない

上久保先生が3月頃から集団免疫説を主張していらしたことは何となく知っていたのですが、正直あの頃、私は疲弊していて頭が働いておらず、よく理解できませんでした。全国一斉休校政策により、産後半年でまだ体力が十分に回復していない時期に、ワンオペで4人育児をしながら死にそうな気分になっていました。感染者が増えたと聞けば恐怖に怯え、人が集まるところには連れて行けない、外食もダメ、外で遊ばせれば通報される、夫のいる大阪にも行けない、東京の歌舞伎町で飲食店を経営していた妹は廃業に追い込まれ、実家の病院も精神的に追い詰められて希望退院する患者さんが続出して経営を圧迫するなど、今まで考えられなかった事態が次々に起こりました。

あの頃から「コロナに感染してはいけない。できるだけ感染者とは接触せず、流行地にも行ってはいけない。」と思い込み、それを支持するような報道がどこのメディアでも行われていました。そしてそれは現在でも続いています。

上久保先生が主張する集団免疫説は、このような先入観があるととても理解するのが難しい理論です。ざっくり言うと「私達日本人の多くは、既にコロナに感染していて、既に免疫を獲得している。だからもし感染しても重症化しにくい。免疫は病原体に触れることで強化されるため、むしろ自粛などしないで病原体に曝露される機会を増やそう。」というものです。

よく「免疫力を上げる!」とか言う迷信めいたものがありますけど、そういった類いのものではなくて、日本人の多くは昨年のうちにコロナウイルスのS型(先祖型)とK型(先祖型の変異型)に感染していたため、いわゆる新型コロナウイルスと呼ばれるG型が流入しても大きな問題にならなかったのです。この理論を基に私が冒頭で挙げた疑問について考えると以下のようになります。

  1. 日本では通常のインフルエンザ流行期にコロナウイルスが流行していた。症状が軽かったために多くは問題にならなかった。コロナウイルスに感染中はウイルス干渉が起こり、インフルエンザウイルスには感染しにくくなるため、インフルエンザの流行が起こらなかった。
  2. 逆にアメリカではインフルエンザの流行が起こっていたために、ウイルス干渉でコロナウイルスに感染する機会を逃した。また、早期に鎖国政策をとり、コロナ(K型)に感染する機会が失われ、免疫を獲得できないままにG型が流入して感染爆発を起こした。
  3. 検査数が増えたため感染者数が増えているが、多くは無症状で集団検査した人達で、重症者数は増えていない。しかし不安になった人が病院に殺到し、無症状でも陽性であれば入院対象となるため、医療現場が逼迫しているのは事実だと考える。PCR検査数が増えてそれにも人員を割かなければいけない。医療現場を逼迫している原因は、重症患者が急増したのではなく、軽症者や無症状者の対応に追われているのではないかと考える。また入院病棟においても「院内感染を起こさせてはいけない」という極度のプレッシャーを医療従事者も患者さんも家族も感じており、その心的疲労は察するに余りがある。その状態をもう半年も続けているので、誰もが疲弊しているだろう。

と考えています。

上久保先生が記者会見をされた動画がこちらです。

【特別配信】緊急記者会見『新型コロナウィルス・第二波は来ない』【WiLL増刊号】

内容を書き起こししようと思っているのですが、ちょっと時間がかかりそうなので、メディアが取り上げたものを引用します。

夕刊フジの見出しが秀逸です。私が会見を聞いた限りでは「第二波は来ない」と言うのは語弊がありそうです。たとえ今の感染者数増加が第二波で無いとしても、今後も自粛を続けて免疫が弱くなれば第二波は来る可能性があるので…「再自粛不要論」はとても的を射た良い表現だと思いました。

京大研究者が明言「再自粛不要論」 欧米より圧倒的に低い日本の死亡率…この差は「集団免疫」で説明できる 抗体検査には“盲点”も
日本の新型コロナウイルス感染による死者数や死亡率が欧米より圧倒的に少ない理由について、夕刊フジでは5月に「日本人はすでに集団免疫を獲得している」という研究グルー…

上久保先生の言う「S型とK型で既に日本人は免疫がついている」というのは、東京などで抗体価をはかった際の割合がとても低かった…という報道を聞いて疑義を持っていましたが、カットオフ値を変えたら陽性化する…という点についても記事の中で図解化して説明されています。

実はこれについて、私はちょっと不安があります。佐賀などの田舎と都会では免疫獲得状況が違うことが予想されるし、特に介護施設などにいるハイリスクな高齢者まで普及しているのかというのは疑問が残ります。無菌室に入院中の患者さん達も外部との接触をしていないし、免役獲得自体が困難ではないかと思います。ただ一般社会で生活している人が免疫を獲得しているというのは、十分に考えられると思います。

記者会見で奥村康先生が「ワクチンは特徴的な顔を持つ病原体では作りやすいが、コロナは難しい。たとえ出来ても数ヶ月に一度うたなければいけない」といったことを話されていました。毎年インフルエンザワクチンをうつのも大変なのに、数ヶ月に一度のワクチンなんてたとえ開発に成功しても普及するのだろうか…と思った次第です。

こちらは奥村先生の発言が多めの記事です。

エラー

上久保先生が記者会見の終盤で「指定感染症については変更を検討すべき」と話していたことに強く賛同します。検査するたびに増加する感染者数に充足するほど病院もホテルも足りるとは到底思えません。

また専門家委員会の尾身先生も話されていましたが、PCR検査を全国民にすることに意味は無く、今の運用で集団検査していくのはなぜだろう…と感じているところです。濃厚接触者のみならず、歌舞伎町では「店に所属するホスト全員」といった感じで集団検査を行い、さらに結果を知らされるのは10日後、それから2週間隔離…などしているそうです。それって隔離の意味があるのだろうか。

上久保先生が終盤で主張していたスライドのスクリーンショットです。

いきなりは理解できないと思いますが、どうぞ先入観に振り回されずに冷静に考えてみて欲しいです。色々な意見があると思いますが、私はこの集団免疫説がとても腑に落ちました。

【上久保先生からコメントをいただいたので追記】

免疫干渉⇒ウイルス干渉(※修正しました)

65歳以上の高齢者、2019年は3,588万人・総人口の28.4%で、過去最高を更新ー総務省 https://gemmed.ghc-j.com/?p=29007

新型コロナ肺炎の死亡者を約1,000人とした場合
⇒65歳以上(3,588万人)のうち、1,000人の死亡者
⇒65歳以上の方10,000人中、0.278人死亡
⇒新型コロナ肺炎における65歳以上の方の死亡率は、0.00278%(計算確認要)

結論
★集団免疫という言葉を使う必要はないかもしれない。
★例年、老人施設、老人病院ではさらに亡くなっている。
⇒例年と異なる面会制限などを付する必要はない。例年通りの対応でOKではないか?⇒検証してほしい。
★現在微増の死亡者は、他の病因での重症者・死亡者がPCR陽性の場合、新型コロナ肺炎での死亡とカウントされているのではないか?
⇒検証してほしい。

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