浪人生とタイムマシン

私見

サマンサさんの投稿【浪人生に聞くタイムマシンがあったら…】を読んだら懐かしさがこみ上げて来ました!


これを読んで私が書いたコメント(^^)


そんなわけで浪人生の頃の話をリクエストされたので、書いてみます。

まずコメントに書いた通り、私は浪人したけど、中学3年生は全く後悔していません。高校受験に向けて死ぬほど勉強していたから。ひとつだけ記念受験で受けた高校はダメでしたが、それ以外は狙った通りに合格したし、中学校の成績は良かったので、別に何も「やり残した感」がありませんでした。

だから浪人生の私に聞いても、中学3年生の私には言うこと無しです。でも、おそらく学校の先生がこの話をしたのは別の意味があります。

中高一貫校には、高校から入学してくる人達が一定数います。私の通った高校も中高一貫校でしたが、高校からも入学できました。中学から進学した人は、高校に入る時にはそこまで苦労しないと聞きます。内部進学ですから「校内での成績がそこそこ取れていたら大丈夫!」ですが、高校から入学する人は、高校自体が狭き門なので死ぬ物狂いで勉強します。その差が歴然としがちだから、将来の同級生を警戒しろという意味で「中学3年生」と言ったのではないかと思います。

逆に高校進学組の立場から言わせてもらえば、内部進学組も怖い存在なんですよ。高校入試で燃え尽きた状態で余裕綽々の内部進学組を見るとなんか癪に触ったし、中学の途中から高校の勉強を始めている内部進学組に高校一年間で追いつけなかったら、高校二年生からの授業がついていけなかった。内部進学生は良いな、もっと小学校の時に頑張っておけば良かったなと思いました。

そんなわけでどっちもどっちなんですが、学校の先生は手綱を締める意味でそんな話をしたのではないかと思います。

サマンサさんが書いているように「大学は一つの通過点に過ぎない」ことは事実だけれども、その通過点のハードルがものすごく高い(そして難関校はさらにレベルが上がって二極化している)ので、進学校の先生方が手綱を緩めるわけにはいかないのは致し方ないことだと思います。だって、大学進学を決めなければ、進学校を選択した意味がありません。現役で合格させなければ、予備校講師に負けたことになるから、それは進学校の教師にとっては耐え難いことでしょう。

「浪人生が悪」と言いたかったわけではないでしょうが、進学校の先生はそういう言い方をします。でもそれが王道だと思います。一発合格を狙わない挑戦なんて、たるむだけじゃないですか。何のために受験するのかわからない。


でもその価値観の中で生きてきて、浪人が決定した時のショックは言葉にし難いものがありました。「やっちまったな」と思いました。

高校3年間はとっても忙しかった。勉強も一生懸命したけど、部活(空手)も楽しかったし、友達には恵まれたし、絶え間なく恋愛していました。正直なところ、高校受験の時にぶつけたエネルギーよりも大きなエネルギーを大学受験にぶつけたとは言えませんでした…(私の場合)

だから浪人が決まった時に「もうこの一年は勉強だけしよう。空手も恋愛も諦めよう」と思いました。そんな決意をするまでも無く、当時の彼氏には別れを告げられ(彼は現役合格で生きる世界が変わってしまった)たので、やむを得ず…という状況でもありましたが。

中学3年生の頃は、本当に吐きながら勉強していました。学校が終わったら塾で、塾の宿題が夜中までかかり、極度の睡眠不足で嘔吐して、学校でも寝てばかりいました。見かねた先生が「保健室で寝ておいで」と声をかけてくれたのも一度や二度じゃありません。

でも浪人生はずーっと予備校。一日中予備校。なんなら土日も予備校。ひたすら勉強していました。

高校受験の時は「第一志望じゃなくても、どこか滑り止めに入れるよね」と思っていたけど、大学受験は甘くありませんでした。現役の時滑り止めを含めて全滅。一浪でも母校以外は拾ってくれませんでした。滑り止めのレベルにすら達していない自分と向き合わなければいけない環境はキツいです。

予備校の担任の先生に「浪人生は一年で終われたら良い思い出になる。女性は一浪なら成人式で振袖着れるから頑張りなさい」なんて、今の時代ならセクハラみたいなことも言われました。「とても医学部に合格できるとは思えないから志望学部を鞍替えしろ」と言われたこともありました。

「現役⭕️浪人❌」から「一浪⭕️多浪❌」に変わっただけの日々でした。でも高校生と違って、浪人生は宙ぶらりんで終わりが見えないことがさらに辛くて、それこそ歯を食いしばって頑張っていました。

浪人生のセンター試験の頃は、もう強烈に辛くて「こんなに頑張ってきたのにまだ成果を出せなくて、私はまだ受験生を終われないのだろうか?」と、分不相応な目標を立てた自分を恨み、病院の後継者である生まれた環境を恨み、世の中全てを敵に回した気分になりました。その頃の思い出を書いたのがこの記事でした。

2022年1月16日佐賀新聞

合格した時に「やっと大学生になれる!」と嬉しくて泣きました。でもその後に進級判定の厳しさや、卒業試験や国家試験の恐怖に泣くことになるけども…。今も仕事で答えが無い問題に悩み続けることになるけれども…。

でもとにかく、大学受験に向けて死ぬ物狂いになった私はやっと解放されたと、一瞬だけど、ものすごく嬉しかったのです!具体的な目標は達成されたらわかりやすく達成感があります。緊張と緩和、人生に必要な要素が凝縮しています。


私は高校受験の時に塾の先生が話してくださった中で「日本人は太平洋戦争で頑張り過ぎて、世界中に恐怖を与えた。戦後の教育は日本人を頑張らせないように組み立てられた。ゆとり教育なんて最たるものだ。誰に遠慮することなく、死ぬ物狂いで頑張れ!」と言うのが印象的でした。

だから「頑張り過ぎなくて良いのよ」とか「受験が全てではないよ」とか言われると「黙れ!私の邪魔をするな!」と思っていました(苦笑)…今はそこまでトンガっていないけど!

そう、今は自分にずいぶん甘くなりました。浪人生の頃の私がタイムマシンで今の私に会いにきたら…めちゃくちゃ怒られてしまいそうです…💦


大学受験そのものが「良かった」のかどうかはわかりませんけれども、頑張って努力したら何かを達成できるという経験を出来たのは良かったなと思います。自分の立ち位置とも向き合うことになるのは、なかなか他では得られない事です。

具体的にどうこう…と言うわけではないですが、今も仕事や育児で無茶振りをされた時に「大変そうだけど、私ならできるだろう」と思える自信につながっているかもしれません。根拠の無いない自信ですが、そうやって自分に負荷を与えて乗り越える能力は受験勉強で鍛えられました。

受験勉強は良いことばかりではないように、悪いことばかりでもありません。現場からは以上です!!

「頭良くな〜れ!」@太宰府天満宮(学問の神様!)

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