桜色の風が咲く

映画

公開が決まってからずっと気になっていた『桜色の風が咲く』をやっと見に行けた!!

【公式】『桜色の風が咲く』本予告 11月4日(金)公開

9歳で失明、18歳で聴力も失いながら、やがては盲ろう者として世界で初めて大学教授となった息子とその母の物語。

教師の夫、三人の息子とともに関西の町で暮らす令子。末っ子の智は幼少の頃に視力を失いながらも、家族の愛に包まれ、持ち前の明るさで天真爛漫に育つ。やがて令子の心配をよそに智は東京の盲学校に進学。親友もでき、高校生活を謳歌。淡い恋もする。たまに彼から届く手紙といえば、令子が苦心した点字翻訳に難癖をつけてくる生意気ぶりだ。だが智は18歳のときに聴力も失う・・・。暗闇と無音の宇宙空間に放り出されたような孤独にある息子に立ち上がるきっかけを与えたのは、令子が彼との日常から見出した、ある新たなコミュニケーションの“手段”だった。勇気をもってひとつひとつ困難を乗り越えていく母と息子の行く手には、希望に満ちた未来が広がっていく・・・。

映画『桜色の風が咲く』公式サイト https://gaga.ne.jp/sakurairo/ より

私が映画館に行って「どこに座ろうかな」とウロウロ見て回っていたら、客席の床にちょこんとラブラドールレトリバーが座っていて「そうか…盲導犬か!盲目の人も楽しみにされてた映画なんやな…」と、心がホンワカした。

私は三女が妊娠中や産後に死にかけた時に「私のせいでこんなに苦しんでいるのかな」と自分を責め続けていたけれど、この映画で登場する智さんの母親も、元気に育っていた息子の視力や聴力が奪われるに連れて自分を責め続けているのが、自分自身とシンクロして辛い気持ちが湧き上がってきた。それでも、あらゆる困難を乗り越えて明るいやり取りが描かれるので救われた。

色々と印象的なシーンがあったのだけど、思いつくままに挙げていくと

  • 全盲になるかもしれないというシビアな宣告を一人で聞く母親。冷酷なことを淡々と言う医師。(連れてくるのが遅い、町医者じゃないんだから、枯れ木に水をやる…など)どんどん変わる病名と治療法に翻弄される母親の静かな怒りと絶望。→「私もこんな態度取っているのかな?」という医師としての反省と、死産になるかもしれないというシビアな病状説明に付いてくれなくて丸投げした前夫への怒りを思い出してグチャグチャの感情になった。
  • 友達から「義眼なんだろ。偽物の目を出してみろよ」と言われて、実際に取り出して逃げられる場面を父親が傍観していたことを母親が怒ったときに、父親が「どんな辛いことをされても耐えられるだけの強い子に育てなければ」と言う場面。→母としての怒りと父としての冷静さ。どちらが正解とかではなく、どちらも我が子を愛しているからこその葛藤であることが伝わってきた。
  • 長い病院生活に兄弟も父親も疲れ果てて電話してきた母親に弱音を吐いたり、誰も代わってくれないのに「智だけのお母ちゃんじゃない」とか残酷な言葉が刺さった。
  • 時々、真っ暗で何も音が入らない場面があり、それがすごく怖く感じた。→全盲ろうっていうのはこういう世界なのかと疑似体験できた。
  • 母親が必死に寄り添うのを「そういうのが嫌だ」と全力で拒絶する智。食事療法中にケーキを食べては吐くシーンは目を背けたくなった。
  • 全盲になるのを防げなかったから印象が悪いステロイド(リンデロン)を聴力が落ちるのを防ごうと再投与すると言われて嫌がるところ→「リンデロンは悪くないねん。病気が悪いねん!」と思わず全力でステロイドを擁護してしまった
  • 民間療法の胡散臭さと、それでも傾倒したくなる絶望的な状況。
  • 冒頭、両親が正月早々夜の営みをしようとして幼い智が泣いて中断するシーンがあったが、「智の病気が無かったら、もっと兄弟増えたのかもしれないな」と思って、そのリアリティが刺さった。
  • 小雪がめっちゃ所帯じみた格好しているのに隠しきれないスタイルの良さ。
  • 入院中「もういい加減寝てよ!」とイライラするシーン、おんぶ紐から子どもがずり落ちそうになるシーン、夫に大事な電話をしている足下で、幼い智が母親の財布をあさるなど「あーリアルすぎる子育て模様」と思った。小雪も母親だからこそのリアリティかも。
  • 初恋の相手に告白して「私も福島君好きよ。でもピアノはもっと好き!」という可愛い同級生。彼女はモデルがいるのかしら…。辻井伸行さんみたいな全盲のピアニストなのかしら。本当に声も可愛かった!
  • 指点字が生まれるシーンは実話に基づいているそうで「こうやって生まれたんだ!」とゾクッとした
  • 聴力が失われて苦しんでいる時に、智に点字を教えてくれた矢野さんに弱音を吐き「男版のヘレンケラーになっちゃう」と泣き崩れ、矢野さんがずっと背中を叩いてくれるシーン。心の支えなんだなと思った。
  • 盲学校の親友、山本くんの脱力感が何とも言えず魅力的。

なんか、感想が色んな方向にぶっ飛んでいるけれど「麻里の説明わかりにくいな」じゃなくて、ぜひ映画館で見て欲しい!

桜色の風が咲く 劇場情報
桜色の風が咲くの公開劇場一覧ページです。

佐賀では年明けまで延長が決定!!

CIEMA

ところでこの映画を見るきっかけは、監督の松本准平さんが高校の同級生、ということではなく、元々小雪が好きだから気になって開いたら「え!准平くんが監督なんだ!」と驚いた感じ…

小雪、12年ぶり主演映画「桜色の風が咲く」11月4日公開 盲ろうの東大教授の半生を描く : 映画ニュース - 映画.com
小雪が、映画「桜色の風が咲く」で12年ぶりに主演を務めることがわかった。世界で初めて盲ろう者の大学教授となり、現在は東京大学の教授として教鞭をとる福島智氏の半生を描く。ポスタービジュアルと、キャストと製作陣のコメントが披露された。9歳で失明

5年前の『パーフェクトレボリューション』でも「准平くんって障害者の世界のリアルを描くのがうまいな」と思ったけれど、福島智さんとの出会いはその上映会というのも「縁だな~」と思わざるを得ない。これからも面白い作品を生み出してくれると期待してる!!

著名な某身体障害者の不倫問題が報道された際「性欲処理なら不倫じゃなくて風俗に行け!」という意見をよく見かけたのですが、その度に私はモヤモヤしていました。

大学生の頃に『セックスボランティア 』という障害者の性を扱った本を読み「障害者は性欲を処理する場が無い」という問題について、ずっと気になっていたのです。本文中に「風俗店は障害者の来店を拒む場合がある。女性障害者の場合はもっと深刻だ。」といった記載があり、「それってかなりのストレスだろうな…」と思ったのですが、どこで話題にしたり、問題提起したらいいのかわからないまま、十数年間が経過しました。

映画『パーフェクトレボリューション』のことを知ったときはびっくり。

「身体障害者だって恋をするし、セックスもしたい!」。重度の身体障害があり、車椅子生活を送りながら、障害者への誤解を解くために活動するクマ。彼と恋に落ちたピンクの髪の美少女ミツは、精神的な障害を抱えた風俗嬢だった―。(公式HPより引用)

私の中で燻っていた問題を松本 准平監督が映画化してくれるなんて!本当に嬉しい!!!しかも出演者がリリーフランキー、余貴美子、小池栄子と、私が好きな俳優さんばかりよ!もしかして私のために映画を作ってくれたのかしらん…♡♡♡

タブー化している「障害者の性」を扱う映画だからちょっと身構えていたのだけれど、ベースは痛いほどにストレートなラブストーリーで、ラストはちょっとコメディちっくで、ミツと言う可愛い女の子にみんなが振り回されている感じで、なぜか明るい気持ちになれました。車椅子に貼ってあった「LOVE ME TENGA」のステッカーとか(実際に大量のTENGAが登場)、エロいクマのマスコットとか、細部まで楽しめます。

障害者と家族の一筋縄ではいかない思いが交錯するシーンとか、密着ドキュメンタリーで障害者を可哀想な雰囲気に仕立て上げようとされて侮辱されたと感じるシーンとか、冒頭の本屋のシーンとか、要所要所で脇役に超美人が登場。何なんですかねアレは。監督の趣味ですか?あの嫌味な弟嫁、ディレクター、店員の女優さん達が気になるー♡♡♡

それと職業柄、病気の演技ってすごく気になります。なんか嘘っぽい演技や演出は興醒めして、どんなに感動的な展開でも入ってこなくなってしまいますが、今回は「リリーさん、大丈夫?」と心配になるほどの完成度。

ちなみに今まで病気の演技で感動したのは、『ギルバート・グレイプ』で知的障害のある役を演じたレオナルドディカプリオ、『東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜』で抗がん剤治療の副作用を演じた樹木希林、『あん』でハンセン病を演じた樹木希林、『Scoop』でドラッグ中毒者を演じたリリーフランキーです。考えてみると、感動の半分はリリーフランキーに持っていかれてますね。東京タワーで樹木希林はリリーフランキーの母親役だったので。

そんなわけで、絶賛公開中の『パーフェクトレボリューション』、オススメです(^^)♡♡♡ — 松本 准平さんと一緒です。

2017年10月17日のFacebookより

自分で書いた感想を見て思い出したけど、リリーフランキーやっぱすげーな。今回もマジむかつく偉そうな医師を演じてたわ…(演技だとわかっててもムカついたわ)

そんなわけで、パーフェクトレボリューションもぜひ併せて見て欲しい!!

『パーフェクト・レボリューション』予告

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