NICUからこんにちは

ハイリスク妊娠

こんなことを書くと語弊があるかもしれないが、私は学生実習でNICU(Neonatal Intensive Care Unitの略で、新生児集中治療室)がとても好きだった。可愛い赤ちゃんがいっぱいいて、小児科の先生も優しくて、看護師さんは…ちょっと怖かったけれど(それだけ新生児管理に真剣だったから)、一週間ほど実習する時間はとても幸せだった。がしかし、自分が母親としてNICUに入ったときは、また違う想いが出てくるものである。

私にNICUへの入室許可がおりたのは出産翌日の午後のことだった。「こちらになります」と案内された保育器の中を見ても「え?どこ?」と思わず探してしまったくらい小さな赤ちゃん。モニターが2つに点滴が1つ、気管内挿管されていて、人工呼吸器によってブルブル震えるような呼吸をしている。「なんか…すごいな」と圧倒されてしまった。

赤ちゃんは裸にオムツのみだった。観察がしやすいように、また保育器で厳格に温度管理するために。そのオムツがちょっと大きめの絆創膏みたいで可愛くて「これ欲しい!」とか思ってしまった。ちょうどリカちゃん人形のお尻にぴったりサイズじゃないか。

よくある「ママの指を握る赤ちゃん」の写真を撮ろうとしたら「ちっさ!」と衝撃的だった。
ちなみに三女の名前の由来はトトロのめいちゃんです

主治医に「昨日は敗血症になって一時危なかったのですが…持ち直して良かったです。レントゲン写真を撮ったら気胸がありますから、これから胸腔ドレーンを挿入します。」と説明されて、思わず「この小さい体に胸腔ドレーンですか!すごい!どうやって入れるんですか?」と好奇心丸出しの質問をしてしまった。「しまった!」と思ったが、主治医はにっこり優しい笑顔で「エコーで見ながら入れますよ。大人に使う胸腔ドレーンよりは随分細い管を使います。」と丁寧に説明してくれた。「ちょっと見学してみたいな」という気持ちもあったが、6日間の安静と出産は容赦無く私の体力を奪い、少し歩いただけでめまいがしたので諦めた。(←もちろんお願いしても許可されなかっただろうが)

それから私の搾乳地獄が始まった。もう私のNICUの思い出の大半は搾乳である。長女と次女に直接授乳はしたことがあったが、搾乳は初めての経験だった。

「未熟児は消化機能が未熟で、ミルクでは壊死性腸炎になる危険性が上がります。大変ですが、搾乳を頑張ってくださいね。」と言われ、文字通り必死に頑張った。

一般的な産後の経過としては、赤ちゃんが泣けば乳首をふくませることで射乳反射を起こすとされているが、NICUの産後は泣き声が聞こえないのでモチベーションが上がらない。なにしろみんな気管内挿管しているので声が聞こえないのだ。そして面会時間も限られているため、一日数時間しか我が子には会えないが、それでも一日中3時間おきに搾乳し続けるのである。

一日中アラームを3時間おきにセットして、搾乳機でひたすら搾り、無菌的に母乳パックに入れて24時間以上冷凍してカチンコチンにしたものを保冷バックで運ぶ。これを毎日5ヶ月半続けた。

「産後一ヶ月は安静にしましょう」と言うが、安静にできた記憶は無い。毎日毎日面会に通っていた。毎日行かないと不安だった。なお私は、産褥期は自動車運転できないため、一ヶ月健診まではバスで面会に通っていた。NICUの病院から遠方に住んでいる母親達はもっと大変な思いをしていると思う。

「私は乳牛じゃないのよ!!」とやるせない気分になることもあったが、両側から一度に搾れる電動搾乳機は非常に楽で重宝したので紹介しておきます。レンタルもあるので、想定される使用期間に応じて購入するかどうか検討してください。(退院の目安はもともとの予定日です)搾乳機は相性があるので、病院の貸出機などで一度試してみることをオススメします。

Swing Maxi(スイング・マキシ)電動さく乳器 (2021年発売モデル)
Swing Maxi(スイング・マキシ)電動さく乳器は、コンパクトで使いやすく、両胸同時さく乳が可能です。お母さまのライフスタイルに合わせて使えるだけでなく、短時間で多くの量をさく乳をさく乳することができます。

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