救急車を呼ぶか?呼ばないか?

診察室から
子ども達は救命士さんに憧れています☆

今回の診察室からは救急車利用に対する問題提起です!

2024年5月18日の佐賀新聞より

 救急車に乗ったことはありますか?私は家族の急病時に使ったことがあります。
 通報後まもなく、大音量のサイレンと共に救急車が到着し、あっという間に患者を車に乗せました。が、そこからが長かった…。患者を観察し、評価し、適切な医療機関を選定し、交渉し、受け入れOKとなって出発するまで、小一時間はかかったでしょうか。ドラマで見るようなダイナミックな場面よりも、静的で地味な場面が長かったな…というのが率直な感想です。
 救急車を呼んで軽症であれば選定療養費を徴収するという「救急車の有料化」が話題になりました。救急車が1回あたり出動するのにかかる費用は約45,000円で、現在は市町村が税金で負担しています。救急車の不適切利用は市町村の財政を圧迫するだけでなく、本当に緊急性の高い患者の搬送ができなくなります。一般的な高規格救急車の調達価格は1台約1,400万円、運転手を含め3人の救命士が乗車する必要があります。救急車や救命士の数を増やすのは簡単ではありません。
 救急車の有料化にいちはやく踏み切った三重県松阪市の場合、選定療養費として7700円徴取するそうです。しかし「有料化したら119番通報を躊躇して、必要な人が呼べなくなってしまう!」という批判的な報道が多かったということです。現時点で、必要な人に救急車が回せなくて困っているから、有料化して慎重な利用を促しているに過ぎません。
 逆に「こんなに一刻を争う状況だったのに、なぜ救急車を呼ばずに放置したの?」というケースもあります。「救急車を呼ぶべきか?」と迷う場合は、通報前に(♯7119)番で救急安心センター事業に電話相談することもできます。
 大切なのは有料か無料かではなく、適切な利用か否かです。各々の努力で今後も安定して救急車が運用できることを願います。

2024年5月18日の佐賀新聞より

医師として転院搬送に同乗…とかではなく、患者側として乗車したことを思い出しながら書きました。本当にけっこう時間がかかるんですよ、救急車って…!受け入れ先が見つからない時間とか不安になります。患者さんのために一生懸命に交渉してくださる救命士さんが頼もしかったです。

救急車の不適切利用については以前から「罰金を請求しても良いのではないか」と考えていたので、このたびの有料化への試みは問題提起としても非常に良いのではないかと考えます。

ただ私個人的には「実費分くらい請求しても良いのでは?安過ぎるだろ!5万円くらい取ろうよ!」と思ったので、記事に書きました。字数がまだ許されるなら、そこまで書きたかったくらいです。値段設定については様々な意見があるでしょうけれども…介護タクシーを一時間も使ったら7700円じゃすまないと思いますけど…


「救急車を呼ぶのを躊躇する」という批判的な報道を聞きながら「いやいやいやいや…躊躇してくれよ!気軽に呼ばれちゃ困るんだよ!」と思ったくらいです。

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このように救急車を「映えスポット」化するのなんて明らかに不適切利用なので、現場の疲弊を防ぐためにも罰はもっと重くても良いと思います。救急車が適切に利用できなければ結果的に困るのは国民ですから。適正利用は皆で取り組むべき問題です。どうぞご協力よろしくお願いいたします!

救急安心センター事業(#7119)ってナニ? | 救急車の適時・適切な利用(適正利用) | 総務省消防庁
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